秘密保持契約を結びたいなと思い始めたので、ネットで調べたら色んな秘密保持契約の書式がいっぱい出てきて、どれを使ったらいいかよくわからなくなってきたよ。
ひとことで秘密保持契約書と言っても、いろいろなバリエーションがあります。相手方や情報の流れ方に照らして適切な種類の秘密保持契約を締結する必要があります。
相手方の属性による種類
相手方が日本法人(個人)の場合 | 国内用秘密保持契約書(日本語) |
相手方が外国法人(個人)の場合 | 国際用秘密保持契約書(主に英語) |
国際用秘密保持契約書は、単に国内用秘密保持契約書を英訳するだけで出来上がるものではありません。英文契約書としての体裁に沿わせるとともに、国際契約に独特でかつ必須となる条項(準拠法条項等)を付加する必要があります。
相手方の数による種類
相手方がひとつの場合 | 2者用秘密保持契約書(一般型) |
相手方が独立した二つ以上の場合 | 複数当事者用秘密保持契約書 |
「独立した」というのは、相手方のX社とY社が独立した立場で秘密情報の交換に参加するという意味です。当社はX社とY社との両方に秘密情報を開示し、一方で、X社からX社の秘密情報を受領したり、Y社からY社の秘密情報を受領したりする場合を想定しています。
相手方が、例えば親会社P社とその子会社S社というように「独立していない」場合、すなわち、秘密情報の開示・受領はすべて親会社のP社を窓口として行われ、子会社S社とは直接行わないということであれば、当社とP社の2者用秘密保持契約を締結し、P社からS社に対して情報の再開示を認めるという手段をとることも多いです。
情報の流れによる種類
情報の流れが双方向の場合 | 秘密保持契約書(双方向型・一般型) |
情報の流れが一方向の場合 | 秘密保持契約書(一方向型) |
情報の流れが一方向の場合とは、秘密情報を専ら開示するだけで、相手方秘密情報の受領は想定されない場合、あるいはその逆の場合をいいます。
この場合は、情報受領者のみが義務を負いますので、両者が記名押印する一般的な契約書のかたちではなく、受領者のみが記名捺印して開示者に対して差し入れる「秘密保持誓約書」の形態になる場合もあります。
一方向型で本当にいいですか?
一方向型の秘密保持契約書の場合、秘密保持義務を負うのは受領者だけになるので、一般的には情報開示者が契約書のドラフトを作成し、その内容は、情報開示者に有利になる傾向にあります。
当初は情報を受領するのみと考えていても、将来のビジネス展開の中で情報を開示することが想定されないのか、十分検討することをお勧めします。
ひな形過信は禁物
以上のように、秘密保持契約には様々なバリエーションがあります。ちまたにある契約書式ひな形にはそれぞれのケースに合致していないことも想定されます。
したがって、契約書ひな形を利用するにしても、安易に利用するのではなく、自己のビジネスの意図と実態に沿った形になっているかよく確認吟味して締結することをお勧めします。
ひな形過信は危ないんですね。といっても、読んでみてもよくわからないし。。。
すぎやん事務所に相談してみればいかがでしょうか。
「相談してみてよかった」と思って頂けるはずです。