契約交渉は構想と準備こそすべて

契約交渉術
どてらいさん
どてらいさん

契約交渉で大事なことはなんですか?

すぎやん
すぎやん

すばり、構想と準備です。

交渉本番でのいろいろな交渉テクニックよりも大事ですよ。

契約交渉における構想と準備

契約交渉における構想と準備の具体的な内容には次のようなものがあります。一つ一つ少し解説します。

  • 交渉ゴールの設定
  • 交渉チームの設定
  • 交渉手段の設定
  • 交渉スケジュールの設定
  • 契約書ドラフトをどうするかの検討
  • 己を知る
  • 相手を知る

交渉ゴールの設定

まずは、「この契約交渉で当方は何を得ようとしているのか。」という点を明確にする必要があります。

ここが揺らぐと、交渉が想定外の方に向かい、最終的に思わぬ方向の契約書になってしまいます。
特に、条項数の多い長い契約書を長期間かけて交渉していくと、どうしても一つの条項の細かい論点についての議論に偏ってきがちであり、その結果、出来上がった契約が当初の思いからずれたものになってしまうことになります。
交渉ゴールを明確に設定し、契約交渉の過程で常に一貫してそれを意識して見失わないようにしないと、いい契約書にはなりません。

交渉チームの設定

契約交渉は一定の固定化したチームで行うべきです。
交渉のたびに違った人が出てくるということになると、これまでの交渉過程を改めて説明しなくてはならなかったり、これまでの交渉で合意した事項を覆すような意見が出てきて後戻りしたり、交渉の進行において支障が出てきます。
したがって、契約内容について決定する権限を持つ人をチームのトップに設定した交渉チームを編成するべきでしょう。また、相手方にも交渉チームの編成を要求しましょう。

もちろん個人事業主の場合はチーム編成できない場合もあるでしょうが、代表者自らが陣頭に立って交渉していただければ大丈夫です。

交渉手段の設定

交渉手段には、メール、電話、電話会議、テレビ会議、WEB会議、実際に面談しての会議などがあります。
これらの手段のうちどの手段が適切かは、当事者の所在地関係、契約内容、重要度、交渉スケジュールとかによって変わってきますが、それぞれの手段の長所・短所を把握して効果的な交渉手段を設定するといいでしょう。

すぎやんの経験では、交渉の初期中期段階ではメールや電話での交渉によって論点の整理と絞り込みを行い、交渉の最終段階で両社幹部出席のもと直接面談の会議形式で交渉して合意に持ち込むという形が、うまくいくことが多いです。

交渉スケジュールの設定

まずは最終的な合意をこの時点までにするという時点を設定し、現在との交渉期間がどの程度あるかを把握したうえで、どの程度の頻度で交渉していくか、いつまでにどこまで合意するかフェーズに分けるなどして、効果的なスケジュール設定をすると良いです。

可能であれば、作成したスケジュールほ相手方と共有し、共通の時間認識のもと交渉を進めるといいでしょう。

契約書ドラフトをどうするかの検討

契約交渉における最初の論点として、契約ドラフトをどちらが作るかという点があります。

この論点は非常に重要な論点になるし、その後の交渉の成否を左右する場合もあります。(先手必勝の項をご参照ください)。
一般的には、最終契約はドラフトを提示した方の当事者にとって好ましい契約になる傾向があります。

契約交渉の構想段階で、この論点に臨む方針(当方がドラフトを準備しますと主張できるか、ドラフトの準備はいつまでにできるか。ドラフトを準備できないので先方にお願いするかなど)を決めておくべきです。

己を知る

契約交渉は、相手方から力づくで奪い取るとか、ただただひたすらお願いしてお情けを頂くという戦略では成り立ちません。
やはり基本は、当方から何かを与えて、相手から逆に与えてもらうという対価性が必要です。いわゆるgive and takeの考え方です。

契約交渉に臨む準備としては、「当方から与えられるものは何か」と「どこまで与えてもいいのか」という点について、分析し整理しておくことが必要です。

相手を知る

相手を知ることも契約交渉において重要です。

先に契約交渉は give and takeだと申しました。何を与えると相手が喜ぶのか、テイクにつながるのか、相手が設定しているゴールはどこにあるのか、ということを、相手を研究して知ることが、交渉を優位に進めるためのポイントです。

契約交渉の構想と準備の成否が契約の成否を決める

上記に述べた構想と準備がしっかりできていないと、結局失敗の交渉に終わることになります。

ここはすぎやんの経験上もそう思います。実際に相手方と対峙して行う交渉場面で駆使する交渉テクニックも大事ではありますが、やはり構想と準備が失敗だと、いくら素晴らしい交渉テクニックを有していてもも十分効果的に発揮できません。

多少時間がかかっても仕方ありません。万全の構想と準備をおこなうべきです。