義務4 工事現場の施工体制等に関する義務

建設業法

建設業法は、営業所に専任の技術者を設置することを建設業許可の要件のひとつとしていますが、さらに建設工事の適正な施工を確保するために、請け負った建設工事に関し、主任技術者や監理技術者等の設置を義務付けています。

工事現場に置くべき技術者

主任技術者と監理技術者

建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、その建設工事に関し、その工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるものとして、主任技術者を置かなければなりません。

この場合、その建設業者が発注者から直接工事を請け負った特定建設業者であり、その工事を施工するために締結した下請契約の請負代金の総額が、4,500万円以上(建築一式工事の場合は、7,000万円以上)になる場合は、主任技術者ではなく、監理技術者を置かなければなりません。

主任技術者及び監理技術者は、その建設工事を施工する建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係にある者であることを要します。

なお、監理技術者は、直接具体的な工事に関連する主任技術者とは異なり、下請業者を適切に指導、監督するという総合的な役割を担っており、主任技術者と比べてより厳しい資格や経験が求められています。

営業所の専任技術者と工事現場の主任(監理)技術者

営業所における専任の技術者については、その営業所において請負契約が締結された建設工事であって、工事現場の職務に従事しながら実質的に営業所の職務にも従事しうる程度に工事現場と営業所が近接し、その営業所との間で常時連絡をとりうる体制にある場合は、当該工事現場における主任技術者又は監理技術者(法第26条第3項に規定する工事現場ごとに専任を要する者を除く。)とすることができ、この場合についても、「営業所に常勤して専らその職務に従事」しているものとして取り扱われます。

(※)主任技術者の配置義務の合理化要件

以下①~④を満たす場合、元請負人の主任技術者は下請負人が置くべき主任技術者の
職務を併せて行うことができ、この場合において、当該下請負人は、主任技術者の配置を不要とすることができます。
①特定専門工事(大工工事、とび・土工・コンクリート工事のうち、コンクリート打設に用いる型枠の組立に関する工事、もしくは鉄筋工事)であって、下請契約の請負代金の額が4,000万円未満
②元請負人及び下請負人の書面による合意
③注文者の書面による承諾
④元請負人の置く主任技術者が、当該特定専門工事に関し1年以上の指導監督的実務経験を有すること、かつ当該工事に専任で置かれること

なお、当該規定は元請負人が置く主任技術者については適用されません。
また、当該規定の適用を受けた下請負人は、その下請契約に係る建設工事を他人に請け負わせてはなりません。

主任技術者または監理技術者の専任性

公共性のある施設若しくは工作物又は多数の者が利用する施設若しくは工作物に関する重要な建設工事で、工事1件の請負金額が4,000万円(建築一式工事の場合は8,000万円)以上のものについては、適正な施工をより厳格に確保するために、主任技術者又は監理技術者は、工事現場ごとに専任の者でなければなりません。

(※)監理技術者の専任義務の緩和

(※)監理技術者の専任義務の緩和

工事現場に監理技術者を専任で置くべき工事について、監理技術者補佐を工事ごとに別途専任で置く場合には、当該監理技術の兼務が認められます。また、特例監理技術者は二を上限とする工事現場に置くことができます。

特定建設業許可業者に関する義務

発注者から直接建設工事を請け負った建設業者が特定建設業の許可が必要となる建設 工事及び公共工事については、特に建設工事の適正な施工を確保する必要があり、その建設工事を施工するすべての建設業を営む者について、請け負った建設工事の内容等を明らかにするため、以下のとおり、施工体制台帳及び施工体系図の作成が必要となります。

施工体制台帳

特定建設業者は、発注者から直接建設工事を請け負った場合(元請)において、その建設工事を施工するために締結した下請契約(この場合、元請・一次下請間の請負契約)の請負代金の額(複数の下請契約がある場合には、それらの総額)が4,500万円(建築一式工事の場合は、7,000万円)以上になる場合は、建設工事の適正な施工を確保するため、その建設工事について、下請負人(一次下請以下のすべての下請負人)の商号又は名称、その下請負人に係る建設工事の内容及び工期等記載した施工体制台帳を作成し、その建設工事の目的物の引渡しをするまで、工事現場ごとに備え置かなければなりません。
なお、発注者から請求があったときは、上記により備え置かれた施工体制台帳を発注者の閲覧に供さなければなりません。
また、その建設工事が公共工事の場合には、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の規定により、特定建設業者以外の建設業者であっても、発注者から直接建設工事を請け負った場合(元請)においては、下請契約の請負代金の額にかかわらず、施工体制台帳を作成し、その写しを発注者に提出しなければなりません。(同法第15条)
この場合、上記の発注者の請求による閲覧の規定は適用されません。

施工体系図

施工体制台帳を作成が必要となった特定建設業者は、その建設工事における各下請負人の施工の分担関係を表示した施工体系図を作成し、その建設工事の目的物の引渡しをするまで、「工事現場の見やすい場所」に掲示しなければなりません。
また、その建設工事が公共工事の場合、「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」の規定により、施工体系図の掲示場所を「工事現場の工事関係者が見やすい場所及び公衆が見やすい場所」としなければなりません。

下請負人に対する特定建設業者の指導

発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その建設工事の下請負人が、その下請負に係る建設工事の施工に関し、建設業法またはその他関連法令の一定の規定に違反しないよう指導し、また、それらに違反していると認められる下請負人に対しては、その違反している事実を指摘し、その是正を求めるように務める必要があります。