不正競争防止法の営業秘密の保護について解説します。秘密保持契約について考えるうえで必要な知識です。
おいおい。あんまりお堅い法律解説はいらないよ。
ここでは、不正競争行為の一類型として定義されている「営業秘密の侵害」について、なるべく簡単に、わかりやすく説明します。少し、お付き合いください。
3要件をすべて満足する営業情報が不正競争防止法の保護の対象
不正競争防止法は、周知表示混同惹起行為、著名表示冒用行為、形態模倣商品の提供行為など、10の類型の不正競争行為を定義し、不正競争の防止及び不正競争に係る損害賠償に関する措置等を講じ、もって国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする法律です。
ここでは、秘密保持契約と関係がありそうな不正競争行為の一類型である「営業秘密の侵害」についてご説明します。
不正競争防止法では、次の3つの要件を全て満足する情報を「営業情報」と定義し、それが侵害されたときに、民事上・刑事上の措置をとることができるとしています。
- 秘密管理性
営業秘密保有企業の秘密管理意思が、適切な秘密管理措置によって従業員等に対して明確に示され、当該秘密管理意思に対する従業員等の認識可能性が確保されていること。他の一般情報と混在して保管されている場合や誰でもアクセスできる状態にある場合(鍵のかからないロッカーに入れているとか、入室規制がされていない居室の机に無造作に置いてあるような場合等)は、秘密管理措置としては不適切であり、営業秘密には該当しない(不正競争防止法で保護されない)とされます。 - 有用性
有用な営業上又は技術上の情報であること。自身が使用しているものには限りませんが、違法物品の製造方法とか、自己の脱税情報等は有用ではなく営業秘密には該当しません。 - 非公知性
公然には知られていないこと。一般には入手できないこと。新聞、雑誌、インターネット等で公表された情報や特許として公開されている情報は営業秘密には該当しません。
不正競争防止法については多くの判例が蓄積されていますが、営業秘密の要件は、厳格に解釈される傾向にあり、とりわけ秘密管理性の観点で営業秘密にあたらず、不正競争防止法は適用されないとされた判例が多く存在します。
営業秘密が侵害されたときの措置
不正競争防止法では、営業秘密が侵害された場合に以下のような刑事上/民事上の措置が取られる旨規定されています。
刑事上の措置 | 営業秘密の不正取得・不正使用・不正開示等のうち一定の行為について、営業秘密侵害罪として10年以下の懲役又は1000万円以下の罰金(又はその両方)を科す。(営業秘密侵害罪) |
民事上の措置 | 営業秘密を侵害する行為があった場合、差止請求権、損害賠償請求権、信用回復措置請求権といった民事上の措置をとることができると。 |
不正競争防止法の保護を期待するよりは・・・
不正競争防止法は、産業スパイとか不正アクセスなど、第三者である犯罪者による侵害行為を処罰規制する法律であるという性質を持っています。したがって、そのような犯罪行為から身を守るために営業秘密の3要件を満たすような適正な情報管理体制を築くことが大切です。
また、自らの秘密情報を第三者に開示するケースでは、不正競争防止法による保護に期待するのではなく、秘密保持契約を締結しておくことが肝要です。
そもそも、漏れたら困るような情報を秘密保持契約なしに開示すること自体、三要件の一つである「秘密管理性」を満たさない(つまり、不正競争防止法は適用されない)、ということになりそうです。
なるほど。「漏れてほしくない情報を開示するときには、秘密保持契約は絶対」、ですね。
やっぱり秘密保持契約はビジネスに不可欠ということです。
行政書士すぎやん事務所では、秘密保持契約の作成のお手伝いをしていますので、一度お問い合わせください。詳しくはホームページをご覧ください。
あ。営業されてもた!