秘密保持契約主要条項7 公的機関から開示要請があった場合に関する規定

秘密保持契約の主要条項

秘密保持契約の主要条項解説シリーズ第7回は、公的機関から開示要請があった場合に関する規定です。

公的機関から開示要請があった場合に関する規定のサンプル

甲および乙は、受領した秘密情報につき、裁判所または行政機関から法令に基づき開示を命じられた場合は、次の各号の措置を講じることを条件に、当該裁判所または行政機関に対して当該秘密情報を開示することができる。
(1) 開示する内容を相手方に通知すること
(2) 適法に開示を命じられた部分に限り開示すること
(3) 開示に際して、当該秘密情報が秘密である旨を書面により明らかにすること

公的機関から開示要請があった場合に関する規定の内容

裁判所、税務署、公正取引委員会、警察などの公的機関から、秘密保持契約の相手方から開示された秘密情報の開示を求められることがあります。
この場合、秘密保持契約では第三者への開示に該当するので、開示するためには原則として相手方の同意が必要です。つまり、「秘密保持契約があるので開示できない」と公的機関に回答する必要があります。

なお、公的機関の情報開示要請には、任意的なものと強制的なものがあります。法律に基づく強制的な開示要請を拒むと、自身が処罰される可能性があります。

したがって、秘密保持契約では、公的機関の情報開示要請があった場合の対応について、契約の中であらかじめ規定しておくことが一般的です。

その規定の中では、概ね以下のような条件が付けられます。
・開示する内容を相手者に知らせること。
・開示要請を受けた部分に限定して開示すること。
・公的機関に対して開示情報が秘密情報であることを明らかにすること。

公的機関から開示要請があった場合に関する規定の規定のチェックポイント

この条項で少し議論になるのが、開示する内容を開示者に通知するタイミングです。

公的機関の開示要請には、事前に開示者に対して公的機関へ開示する旨を通知できる余裕のある状況とは限りません
強制的な立入検査の場合、公的機関から事前の連絡が無いのが通例だし、検査時も外部との連絡が一切禁止される場合があります。このような場合は、開示者に対して連絡を取ることができませんので、事後速やかに連絡をせざるを得ません。
以下の修正案をご参照ください。

修正を検討した方がよい条文案

(1) 開示する内容を事前に相手方に通知すること

修正案

(1) 開示する内容を事前に(事前通知が許されないときは事後速やかに)相手方に通知すること

どてらいさん
どてらいさん

開示要請を受けたときに、それが強制的なものか任意的なものか見極めないといけませんね。

すぎやん
すぎやん

そう、そこの見極めと、可能であれば直ちに開示者へ連絡して相談することが大事ですね。

すぎやん事務所
すぎやん事務所

行政書士すぎやん事務所では、豊富な企業法務実務経験を活かした使える契約書の作成を行っています。ホームページをご覧ください。